第五福竜丸の死因は「死の灰」ではなかった | エコノMIX異論正論 | コラムニューズウィーク日本版
今年の日本記者クラブ賞の特別賞に、南海放送(愛媛県)の制作したテレビ番組「放射線を浴びたX年後」が選ばれた。受賞理由は「太平洋での米国の水爆実験による漁船被ばく問題を10 年以上も番組や映画を通じて追及した」となっている
第五福竜丸は水爆実験の立入禁止海域で操業していたため、核爆発によって飛散した大量の放射性物質を浴びた。この結果、乗組員23人に放射線障害が起こり、そのうち無線長の久保山愛吉が半年後に死亡した。これを読売新聞が「死の灰の犠牲者」と報じ、放射能の危険性を示す出来事として、世界的なニュースになった
しかし病理解剖によって判明した久保山の死因は肝炎であり、放射線で起こる病気ではない。高田純『核爆発災害』によれば、久保山の肝臓に蓄積されていた放射能は130ベクレル/kgで通常の値(120ベクレル)とほとんど変わらなかった
他の22名の船員についても放射線医学総合研究所が長期にわたって追跡調査をしたが、2003年までに死亡した12名の内訳は、肝癌6名、肝硬変2名、肝線維症1名、大腸癌1名、心不全1名、交通事故1名で、ほぼ全員に肝機能障害がみられた。放医研は2005年の年報で、次のように報告している
船員の被曝した推定線量は1.7~ 6.0Gyであった。最近では平成15年5月に1名が肝癌で死亡、これまでに死亡者12名となった(内訳は肝癌6名、肝硬変2名、肝線維症1名、大腸癌1名、心不全1名、交通事故1名)。肝機能異常が多くの例に認められ肝炎ウイルスの検査では、陽性率が非常に高い。しかし、腹部造影CT検査などでは肝細胞癌などの悪性腫瘍の所見は認めなかった
特に急性の放射線障害の出ていた久保山は、全血液を輸血で入れ替えたため、血液感染で肝炎になった疑いが強い。南海放送の番組では、核実験の当時マーシャル諸島の近海にいた日本の漁船の乗組員に取材し、操業していた992隻の漁船のうち、548隻が放射性物質を浴びたという。しかし立入禁止区域の中で操業していたのは第五福竜丸だけで、それでも爆心地から150kmも離れていたので、それ以外の漁船にそれほど多くの「死の灰」が降ったとは考えられない
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つまり、この記事(南海放送のドキュメンタリー)によれば放射線障害がでていた第五福竜丸の乗組員は
全員が被ばくの影響ではない肝臓障害で死亡し、大量の放射能を浴びても放射線障害で死亡した者は
ひとりもいない・・・と結論付けている
さぁ、この真偽はどうなんだろう?
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