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福島・避難解除(故郷で暮らせるのか) 東京新聞社説:2015年5月29日

東京電力福島第一原発事故による避難指示を大幅に解除するように求める提言を自民党がまとめ、近く政府に提出する。スケジュールを示すことは大事だが、「切り捨て」になってはいけない。

 自民党の東日本大震災復興加速化本部がまとめた第五次提言は、福島県内の原発事故被災地について(1)原発事故による「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」を二〇一七年三月までに解除(2)精神的賠償を一八年三月で打ち切る(3)事業再開と生活再建へ集中的な支援-などを求めている。

 提言では汚染がひどい帰還困難区域を除外。居住制限、避難指示解除準備の両区域はすべて一七年三月までに解除する。ここには事故前、五万五千人が住んでいた。

 精神的賠償の打ち切り時期を一律として、早期に解除された地域を含めて公平に扱うとしたのは評価できる。終わりが見えない避難生活だけに、スケジュールが示されることに納得する人もいる。

 避難指示解除は、一四年の田村市都路地区を皮切りに実施されている。だが、先行地域では住民の半数も戻っていない。

 今回は原発に近い地域や、空間放射線量が高い地域が含まれる。住民の中には、放射性物質が環境中に放出されるような事故が再び、起きるのではと心配する人もいる。安心して子育てや農業を再開できる環境とは言い難い。

 問題はほかにもある。住宅は改修するか新築しないと住めないことがほとんどだ。住民の戻りが遅いため、商業施設は再開が難しいなどだ。提言が書くように「事業再開と生活再建への集中的支援」が必要だ。

 被災者が全員、故郷に帰るわけではない。避難先で新しい仕事に就いた人もいる。避難指示解除後の支援も、帰還する住民に偏らず、様子見の人も、移住を選択した人にも等しく及ばせたい。除外された帰還困難区域の人口は約二万四千人だった。この人たちへの支援も続けなければならない。

 賠償問題が決着すれば、子育て世代の多くは避難先に流出し、急激な人口減と高齢化が起きると予想されている。すでに避難指示が解除された地域を含めると、避難区域が設定された自治体は福島県内の十二市町村に及ぶ。その復興には、従来のようなハード整備では不十分だ。個人個人で異なる住民のニーズをくみ取る仕組みなど、ソフト面も大事だ。これまで以上の知恵と資金が求められる。

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つまりは補助金打ち切りを正当化させるための証拠立て以外の

なにものでもない

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